国産竹べら Bamboo spatula

福島県棚倉町

書いた人:木村郁子

2020.05.14

Story

それまではシリコン製のヘラを使っていた。それなりに満足していたが、この竹ベラを使いはじめたら手放せなくなった。

まず、キッチンに木製のものがある喜び。これが吊るしてあると、キッチンに優しい表情が生まれる。徐々に変化する楽しさもある。使うほど色が濃くなり、独特のつやがでる。2年くらい毎日使ってこの色に。

そして軽い。シリコン製よりもずいぶんと軽い。軽いのに強い。壊れることを気にせずにガシガシ使える。金属製のように金具がぐらぐらする心配もない。また手触りはいつもさらっとしている。炒め物の時も油っぽさを感じたことはない。このあたりは竹の魅力だ。さすが古来から様々な道具に活用されてきた竹である。

そして最も強調したいのがヘラの部分の形である。四角でもなく、丸でもなく、微妙な形がフライパンの角によくなじむ。裏かえせば、また違う角度でフィット。フライパンの角にあてても傷つける心配もない。

また横からみるとわかるが平らではない。くぼんでいる。そして先端がとても薄い。なので料理が上手にのる。料理を皿にうつすときにも安心。 薄い仕上がりなので、特にお手入れをしなくてもカビの心配もいらない。

作っているのは福島県棚倉町の孫助耕房の大塚政美さん。自宅の竹やぶから竹を切り出し庭の一画で作業している。へら以外にも、しゃもじや孫の手を作ってきた。

長年の勘でおおまかな形を作るのは素早い。繊維にそってパンパンと竹を割る。

ここから細かいところを調整し、なめらかにするためやすりをかける作業に手間がかかる。今の形は長年、いろいろな人の意見を聞きながらできてきたものだ。使い手がより使いやすいものを作りたい、という情熱は絶えることがない。

長く使える竹べらは一生物。コストパフォーマンスもGOOD。ぜひご自宅のキッチンでご愛用ください。


木村郁子

木村郁子

合同会社ふくわらい代表。横浜から月1回、福島県棚倉町に通っています。棚倉町で見つけた食べ物の魅力を「普段着のごちそう」として記録しています。
合同会社ふくわらい