凍み豆腐
shimi-tofu

福島県棚倉町

書いた人:木村郁子

2020.04.15

Story

自宅での料理に凝りたくなる今日この頃。そこで今回は東北伝統の凍(し)み豆腐にじっくり向き合ってみましょう。

福島県棚倉町の大椙食品の凍み豆腐は昔ながらの製法でつくる郷土の味です。作り方は、凍み豆腐用の豆腐をカットし藁で編んでつるします。これを夜の寒さで凍らせて日中の太陽で乾燥させることを繰りかえします。

出来上がりは硬めで少し癖のある大人の味です。組み合わせる相手の出汁を良く吸って印象が変化するので、料理のしがいがあります。また冷める段階で味がよくしみるので、冷めてもおいしくいただける点が便利です。

ここで、凍み豆腐と高野豆腐は何が違うのでしょうか。両方とも豆腐を凍らせた食べ物です。でも違いもあります。

まず、高野豆腐は高野山の僧侶が寒い日に偶然みつけたとされ、関西を中心に広まりました。 そして明治以降には機械による製造がすすみ、より柔らかい食感をめざして製法が改良されました。 一方の凍み豆腐。高野山の僧侶もしくは武将達によって東北地方にもたらされ、軒先で夜間に冷気にさらし日中に太陽に干すといった自然製法が今も残っています。より素朴な味が東北の凍み豆腐といえるでしょう。

さて使ってみまーす。水に30分ほど浸し両手ではさんで絞ります。しっかり固めです。まずはタケノコと煮ます。福島ではタケノコ、こんにゃく、凍み豆腐、凍み大根、身欠きニシン、フキなどを入れた煮物が田植えの時期によく食べられていたそうです。

タケノコと煮ました。本格的な郷土料理は誰かにつくってもらいましょう。

次はバラ肉を巻いて焼きました。甘辛しょうゆで味付けを。冷めると味が染みて実に美味しいです。お弁当にも良いですね。

新潟出身の方が教えてくれたのは、小松菜との煮物。ごま油をひいて小松菜と生姜を炒めます。ほそく切った凍み豆腐をいれて、だし汁と醤油と砂糖をいれて煮ます。体の深海層がほっとため息をつくようなお味です。

カレー粉とヨーグルトにつけこんで、タンドリーチキン風にいただくアイデア。カレーに添えると良いですよ。

その他、唐揚げもおすすめです。

凍み豆腐は水分をぬくことで豆腐の栄養素が凝縮されています。植物性タンパク質やミネラルを豊富にふくんでいるので栄養価が高いです。

作っている大椙食品は明治34年創業。桶売りの豆腐屋としてはじまった110年以上続く老舗です。現店主、大椙広さんはアイデアマンで、 第2回全国豆腐品評会東北大会で最優秀賞を獲得した青豆寄せ豆腐や「バジルde豆腐」など、新しい豆腐を生みだしています。と同時に、伝統を守るために凍み豆腐づくりも毎年つづけてきました。

しかし最近は危機感をいだいているそう。なぜなら、温暖化で冬の気温が下がらず、干しても腐ってしまい商品にならないためです。昔ながらの凍み豆腐づくりは岐路に差しかかっています。これからは手に入れるのが難しい、貴重な食材になるでしょう。

製造者: 有限会社 大椙食品
福島県東白川郡棚倉町大字棚倉字鉄炮町16番

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※ 大椙食品通販サイト 少量のみ限定販売です。

shimi-kofu

Shimi-tofu is forzon tofu,which is local food in the Tohoku region. It is similar to Koya-tofu which is believed to have been invented by Buddhist priest on Koya mountain and spread around Kansai area. Shimi-tofu is made by exposing it to the cold wind at night and drying it in the sun at noon. But due to global warming, it becomes more and more difficult to make it.

木村郁子

木村郁子

合同会社ふくわらい代表。横浜から月1回、福島県棚倉町に通っています。棚倉町で見つけた食べ物の魅力を「普段着のごちそう」として記録しています。
合同会社ふくわらい

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