書いた人:木村郁子
2020.08.03
シソ餅は大福より一回り大きい白餅をシソではさんだものだ。餅の中には何も入っていない。
「この辺じゃ夏の土用に食べる習慣があるんだよ」。福島県棚倉町の直売所、田舎すだちの店長にそう教えてもらい、調べてみました。
生産者の岸波洋子さんに電話で聞いてみた。昔からこの地域では夏の土用(7月20日頃から8月6日頃)につくるのだという。赤シソも青シソもどちらもありだが、どちらかと言うと赤の方が出番が多いのは梅干し用に畑でたくさん作っているからだそう。出来立てはそのままいただくが、硬くなったら焼く、レンジにかける、揚げる、などの方法で食べる。
岸波さんの話を聞いてレンジで温めた。見た目は悪い。醤油をつけていただく。シソの香りが粋でさわやか。確かに暑くて夏バテしそうなときにもヒョイと食べられる。
シソ餅は福島県の南部の文化という噂を聞いて、何人かに聞いてみた。すると確かに棚倉町だけではなく、塙町・矢祭町・白河市・古殿町で目撃情報があった。今の時期は手作りの品が直売所に並ぶ。
さらに古殿町の「おざわファーム」小澤啓子さんにも聞いてみた。シソ餅はこの地域の夏餅の代表格で、しその葉に殺菌作用があるため白餅よりカビがつきにくいという合理性もある。古殿町ではお盆の時期に食べる行事食で砂糖醤油でいただくそうだ。
というわけで、今回、しそ餅についてわかったのは
ということである。
図書館にもネットにも情報が少ないシソ餅。もち文化が豊かと言われる福島県南独自のものなのか、他の地域にもあるのか。まだ謎が残っている。ぜひ情報をお寄せくださいー!
木村郁子
合同会社ふくわらい代表。横浜から月1回、福島県棚倉町に通っています。棚倉町で見つけた食べ物の魅力を「普段着のごちそう」として記録しています。
合同会社ふくわらい